画像処理100本ノック完全ガイド 003:減色処理・平均プーリング

プログラミング

はじめに

画像処理は、デジタル画像を操作してその内容を解析、変換、編集する技術です。この技術は、写真編集、医療画像解析、自動運転車の視覚システムなど、さまざまな分野で利用されています。このシリーズは、実際の画像処理技術をPythonで実装することで、理論と実践を組み合わせた学習を目指しています。減色処理と平均プーリングを実装する方法について解説します。これらの技術は、画像データの効率的な表現や、機械学習の前処理において重要な役割を果たします。以下では、具体的な問題を通じて、これらの技術の実装方法を詳しく説明します。この記事では、画像処理100本ノックで用意されている「imori.jpg」をダウンロードしてください。ダウンロードのURLはこちらです。

画像処理100本ノック 006. 減色処理

ここでは画像の値を256^3から4^3、すなわちR,G,B in {32, 96, 160, 224}の各4値に減色せよ。 これは量子化操作である。 各値に関して、以下の様に定義する。

画像処理100本ノック
val = {  32  (  0 <= val <  64)
         96  ( 64 <= val < 128)
        160  (128 <= val < 192)
        224  (192 <= val < 256)

方針

減色処理とは、画像の色の数を減らす操作のことです。これにより、画像のデータ量を削減し、処理の効率を向上させることができます。減色処理は、量子化とも呼ばれます。減色処理の基本原理は、画像の各ピクセルの色値を、あらかじめ定義された少数の色値に置き換えることです。具体的には、以下のステップで行います。

  1. 各ピクセルの色値(R, G, B)を取得します。
  2. 取得した色値を、定義された範囲に従って最も近い色値に置き換えます。
  3. すべてのピクセルについてこの操作を行い、減色された画像を生成します。

この操作は以下のように数式で表すことができます。

実装手順

  1. 画像の読み込み
    • 画像を読み込みます。Pythonのcv2ライブラリを使用します。
  2. 各ピクセルの色値を取得
    • 画像の各ピクセルの色値を取得し、それぞれの値を量子化します。
  3. 色値を置き換え
    • 取得した色値を定義された範囲に基づいて最も近い色値に置き換えます。
  4. 減色された画像の生成
    • すべてのピクセルについて操作を行い、減色された画像を生成します。

解答と実行結果

quantize_value関数を定義します。この関数は、入力された色値を4つの定義された値(32, 96, 160, 224)のいずれかに変換します。色値の範囲に応じて、対応する量子化値を返します。quantize_image関数では、画像全体を量子化します。入力画像と同じサイズの空の画像を作成し、各ピクセルの色値をquantize_value関数を使用して量子化します。これにより、元の画像の色値が定義された量子化値に置き換えられます。画像を読み込み、読み込んだ画像をquantize_image関数に渡して量子化します。

import cv2
import numpy as np
import matplotlib.pyplot as plt

def quantize_value(val):
    if val < 64:
        return 32
    elif val < 128:
        return 96
    elif val < 192:
        return 160
    else:
        return 224

def quantize_image(image):
    quantized_image = np.zeros_like(image)
    for i in range(image.shape[0]):
        for j in range(image.shape[1]):
            for k in range(3):
                quantized_image[i, j, k] = quantize_value(image[i, j, k])
    return quantized_image

# 画像の読み込み
image = cv2.imread('imori.jpg')
quantized_image = quantize_image(image)
cv2.imwrite('quantized_image.jpg', quantized_image )

このコードを実行すると、次のような結果(右の画像)が得られます。

画像処理100本ノック 007. 平均プーリング

ここでは画像をグリッド分割(ある固定長の領域に分ける)し、かく領域内(セル)の平均値でその領域内の値を埋める。 このようにグリッド分割し、その領域内の代表値を求める操作はPooling(プーリング) と呼ばれる。 これらプーリング操作はCNN(Convolutional Neural Network) において重要な役割を持つ。これは次式で定義される。
v = 1/|R| * Sum_{i in R} v_i
ここではimori.jpgは128×128なので、8×8にグリッド分割し、平均プーリングせよ。

画像処理100本ノック

方針

平均プーリングとは、画像を一定のグリッドに分割し、各領域内のピクセル値の平均を求める操作です。これにより、画像のデータ量を削減しつつ、重要な情報を保持することができます。平均プーリングは、主に畳み込みニューラルネットワーク(CNN)で使用されます。具体的には、以下のステップで行います。

  1. 画像を一定サイズのグリッドに分割します。
  2. 各グリッド内のピクセル値の平均を計算します。
  3. 計算した平均値で、グリッド内のすべてのピクセルを置き換えます。

グリッドのサイズが大きいと、画像が粗くなってしまいます(右図は16×16のグリッドに分割して平均プーリングを行った結果)。

数式で表すと、以下のようになります。

ここで、v はグリッド内の平均値、R はグリッド内のピクセルの集合、vi はグリッド内の各ピクセルの値です。

実装手順

  1. 画像の読み込み
    • 画像を読み込みます。Pythonのcv2ライブラリを使用します。
  2. 画像をグリッドに分割
    • 画像を指定されたサイズのグリッドに分割します。
  3. 各グリッド内のピクセル値の平均を計算
    • 各グリッド内のピクセル値の平均を計算します。
  4. 計算した平均値でグリッド内のピクセルを置き換え
    • 計算した平均値でグリッド内のピクセルを置き換えます。

解答と実行結果

average_pooling関数を定義します。この関数は、入力画像を指定されたプールサイズで平均プーリングします。空の画像を作成し、各グリッド内のピクセル値の平均を計算して、その平均値でグリッド内のピクセルを置き換えます。画像を読み込み、読み込んだ画像に対してaverage_pooling関数を適用し、プールサイズを8に設定します。

import cv2
import numpy as np
import matplotlib.pyplot as plt

def average_pooling(image, pool_size):
    pooled_image = np.zeros_like(image)
    height, width, channels = image.shape
    stride = pool_size

    for i in range(0, height, stride):
        for j in range(0, width, stride):
            for k in range(channels):
                pooled_image[i:i+stride, j:j+stride, k] = np.mean(image[i:i+stride, j:j+stride, k])
    return pooled_image

# 画像の読み込み
image = cv2.imread('imori.jpg')
# 平均プーリングの適用
pooled_image = average_pooling(image, 8)
cv2.imwrite('pooled_image.jpg', pooled_image)

このコードを実行すると、次のような結果(右の画像)が得られます。

画像処理100本ノック 008. Maxプーリング

ここでは平均値でなく最大値でプーリングせよ。

画像処理100本ノック

方針

最大プーリングは、画像を一定のグリッドに分割し、各グリッド内のピクセル値の最大値を求める操作です。これにより、重要な特徴を保持しながらデータ量を削減することができます。具体的には、以下のステップで行います。

  1. 画像を一定サイズのグリッドに分割します。
  2. 各グリッド内のピクセル値の最大値を計算します。
  3. 計算した最大値で、グリッド内のすべてのピクセルを置き換えます。

実装手順

  1. 画像の読み込み
    • 画像を読み込みます。Pythonのcv2ライブラリを使用します。
  2. 画像をグリッドに分割
    • 画像を指定されたサイズのグリッドに分割します。
  3. 各グリッド内のピクセル値の最大値を計算
    • 各グリッド内のピクセル値の最大値を計算します。
  4. 計算した最大値でグリッド内のピクセルを置き換え
    • 計算した最大値でグリッド内のピクセルを置き換えます。

解答と実行結果

max_pooling関数では、入力画像を指定されたプールサイズで最大プーリングします。空の画像を作成し、各グリッド内のピクセル値の最大値を計算して、その最大値でグリッド内のピクセルを置き換えます。strideはプールサイズであり、これを使って画像をグリッドに分割します。その後、画像を読み込みます。cv2.imread関数を使用して画像ファイルを読み込みます。読み込んだ画像に対してmax_pooling関数を適用し、プールサイズを8に設定します。

import cv2
import numpy as np
import matplotlib.pyplot as plt

def average_pooling(image, pool_size):
    pooled_image = np.zeros_like(image)
    height, width, channels = image.shape
    stride = pool_size

    for i in range(0, height, stride):
        for j in range(0, width, stride):
            for k in range(channels):
                pooled_image[i:i+stride, j:j+stride, k] = np.mean(image[i:i+stride, j:j+stride, k])
    return pooled_image

# 画像の読み込み
image = cv2.imread('imori.jpg')
# 平均プーリングの適用
pooled_image = average_pooling(image, 8)
cv2.imwrite('pooled_image.jpg', pooled_image)

このコードを実行すると、次のような結果(右の画像)が得られます。

最後に

この記事では、画像処理の基本的な技術である減色処理とプーリング(平均プーリングと最大プーリング)について解説しました。これらの技術は、画像のデータ量を減らしつつ、重要な情報を保持するために非常に有用です。特に、プーリングはCNN(畳み込みニューラルネットワーク)において重要な役割を果たします。次回の記事では、さらに高度な画像処理技術について解説していきます。どうぞお楽しみに!

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